マイナンバーカードに健康保険証を登録するメリットとデメリット
2021年10月からマイナンバーカードを健康保険証として利用できる制度の運用が本格的に始まりました。
マイナンバーカードを健康保険証として利用するには、マイナポータルサイトで事前登録する必要があります。
本記事ではマイナンバーカードを健康保険証として利用することによるメリット・デメリットとその利用方法についてご紹介します。
- マイナンバーカードを保険証として利用することのメリット・デメリット
- 保険証として登録する方法
先に結論
マイナンバーカードを健康保険証として利用するように申し込みすることを推奨します。
理由は後述で紹介するように現時点ではメリットの方がデメリットよりも遥かに大きいためです。
また、今後医療業界のIT化が進み、これが主流になる可能性が高いことも推奨する理由の一つです。
背景
超高齢化社会に伴い、医療業界のIT化はどんどん推進されていくと予想されます。
何故なら少子高齢化により医療従事者も減少していき、多くの患者を診察するために効率化を迫られるためです。
例えば、病院やクリニックなどの医療機関に行ったとき、長時間待たされる経験をしたことはありませんか?
体調が悪いときに待たされるのは辛いですよね?
でも病院側も何も意地悪で皆さんを待たせているわけではありません。
医療機関側では見えない部分で膨大な業務をこなしています。
患者情報や保険情報を施設内のシステムに登録する業務(いわゆる受付業務)は5分程度かかる場合があります。
12人を受付すれば1時間です。丸1日かけてもせいぜいが300人。
受付業務だけ見ても多くの時間を必要とすることがわかります。
でも保険証としてマイナンバーカードを機械にピッとすれば――
受付業務がそれだけで完了させることもできるのです。
つまりマイナンバーカードを使うことで業務の時間を短縮することができ、その分、患者を待たせる時間を減らせるのです。
- 医療機関は浮いた分の時間でさらに多くの患者を診察することができる
- 患者は長時間待たされることが少なくなる
この時間短縮は医療機関と患者の双方に大きなメリットがあり、この仕組みが普及すれば社会への影響も大きくなります。
そのため今後は、受付業務だけでなく、診療業務・会計業務など他の業務、医療業界以外にも、マイナンバーカードを使って効率化を図られることが予想されます。
マイナンバーカードの基本を押さえるなら
マイナンバー制度を理解しておかないと損得の判断も難しいです。
マイナンバー制度の基本的な内容を知りたい場合、こちらの書籍がわかりやすいのでオススメです。
マイナンバーカード・マイナポータル 徹底活用丸分かりマニュアルメリット
マイナポイントがもらえる(7500円分)
マイナポータルサイトからマイナンバーカードを健康保険証として登録すると7,500円分のマイナポイントをもらうことができます。
申込期限は2023年2月末までなのでポイントが欲しい人は早めに申し込みしましょう。
申し込み方法などの詳細は下記の記事で紹介しています。
e-Taxと連携して確定申告(医療費控除)が簡単になる
医療費控除のために確定申告する際、その年の領収書をすべて管理して控除対象となる項目の金額を計算して申告する必要があります。
計算も面倒ですが、それよりも1年分の医療費の領収書を管理するのもかなりの手間です。(領収書を紛失してしまう人も多いのでは?)
マイナンバーカードを保険証として利用するようにしておけば、そのあたりの管理と計算をする必要がなくなります。
就職や転職、引っ越しをしてもそのまま使える
就職や転職、引っ越しをしても、特に手続きを必要とせず、そのままマイナンバーカードを健康保険証として利用することができます。
今までは就職や転職、引っ越しをすると医療保険(国民健康保険、社会健康保険等)の住所変更手続きが必要でした。
会社員は社会健康保険は勤務先が代行してくれるのであまり意識することはないかもしれませんが、自営業など国民健康保険に加入している人は自分で手続きを行う必要があります。
それがなくなります。
医療保険の住所変更の手続きは必須です。
手続きをしていないと保険料を全額負担しなければならなくなったり、再加入する際に滞納分の保険料を遡って請求されたりします。
医療費や薬剤情報・特定健診情報がオンラインで参照できる
マイナポータルサイトで医療費を始めとする情報が参照できます。
【確認できる主な医療情報】
健康保険情報 | 保険社名、被保険者証記号・番号など |
医療費通知情報 | 支払った医療費の情報 |
薬剤情報 | 薬局などで受け取った薬の情報 |
特定健診情報・後期高齢者健診情報 | 健診結果の情報 |
予防接種 | 自治体が保有する予防接種の実施に関する情報 |
医療保険 | 健康保険・後期高齢者医療などの保険証の資格情報 出産育児一時金や高額医療費などの給付情報 |
難病患者支援 | 特定医療費の支給開始年月、終了日などの情報 |
医療保険情報の提供状況 | 医療保険情報が提供された状況・履歴 |
限度額適用認定証などの書類の持参が不要になる
高額療養費制度を利用している場合、認定証の持参が必要ですが、マイナンバーカードを使えば持参する必要がなくなります。
マイナンバーカードだけを保管すればいいので管理が楽になります。
デメリット
マイナンバーカードに対応していない医療機関では使えない
マイナンバーカードを保険証として利用できるようにしていても、医療機関側の設備が対応していないと保険証として利用できません。
ただし医療機関で保険証として利用できないだけで、医療費や薬剤情報はマイナポータルサイトで参照できます
医療機関がマイナンバーカードの保険証利用に対応しているかどうかは下図のようなポスターの有無で判断できます。
直接医療機関に問い合わせて聞いてみるのもいいかもしれません。
マイナンバーカード紛失のリスクがある
保険証として使うということは持ち歩くということです。
持ち歩くということは落とすなどして紛失してしまう可能性があります。
もし紛失したことでマイナンバーカードに記載されている情報を誰かに知られてしまった場合、下記のような被害が発生する可能性があります。
- 個人情報の不正売買に使われる
- なりすましで不正な行政手続きが行われる
- マイナポータルサイトに不正ログインされてしまう
結論と考察
最初に述べた通り、現時点ではメリットの方が大きいため、マイナンバーカードを保険証として利用することを推奨します。
即物的な理由としてはマイナポイントがもらえるのでお得です。
先のことを考えると、行政サービスを受けるときにマイナンバーカードがないと余計な手間や時間を取られるようになると想像できます。
人が時間と手間暇かけて情報を管理するよりも、IT化してシステムに任せてしまう方が遥かに楽です。
そして浮いた時間を使って人にしかできないことをすれば、もっと周りを良くしていくこともできると思います。
マイナンバーカードを保険証として利用できるようになるだけでも、社会に与える影響は大きいです。
「マイナンバーカードで国に管理されるなんて嫌だ!」という意見があることは知っていますし、その気持ちも理解できます。
その根本にあるのはセキュリティへの不安だと思いますが、日本が世界と比べてセキュリティレベルが劣っているのは事実。
不安に思うのも仕方ありません。
今は行政サービスに対してのみマイナンバーカードが利用されていますが、もし今後民間サービスでもマイナンバーカードを利用するようになったら、悪用されるリスクが増えるかもしれません。
心配なのは民間サービスでマイナンバーカードを利用できるようになった場合です。
個人的な意見を述べるなら、マイナンバーカードを利用した効率化(IT化)が「社会全体の時間を創出できる」ということを考えると十分に価値があります。
今後も便利になっていくマイナンバーカード。
今のうちに作成しておいてはいかがでしょうか?
最後まで読んで頂きありがとうございました!