エアリセの感想 愛されると消えてしまう妖精の恋物語
エアリセとは?
エアリセは人気作「ノーゲーム・ノーライフ」の著者でもある榎宮裕先生が書いた漫画です。
2005年11月から2008年4月まで連載されており、四巻にて完結しています。
あらすじ
どこからともなく現れて、人に幸せを与える。
でも愛されると死んでしまう妖精『エアリセ』。
エアリセは病めるし、飢えるし、傷もつく。
しかしそれで死ぬことはなく、老いることもない。
されど不死ではない。
誰かに愛されたく、誰かを愛したいうさぎはまだ死ねない。
どうしても知りたいことがある。
守らなければならない、忘れてはいけないはずの約束。
死なないために、約束のために、自らを愛する人を手にかけるしかなかった。
誰かが現象生命『EarTh』と名付け、不老不死や死者蘇生のサンプルに狙われるエアリセを救出に、留年高校生の市ヶ谷ヒロキは悪友である綾瀬真治の助力を得て単身大企業の研究施設に乗り込む。
うさぎのエアリセを救出し、そのエアリセを『シロ』と名付け、エアリセの秘密に迫る物語。
感想
感動しました。
エアリセの性質を考えるとバットエンドしか想像できないものですが、そこに至るまでの過程やキャラクターの個性で魅せてくれるためさすが榎宮先生です。
死界症候群という病気のせいで色覚や味覚、嗅覚などを失い、常に激痛に苛まれるヒロキにとって、生きていること自体が苦痛でした。
でも祖母を心配させたくない一心で普通に振舞って、そして祖母が亡くなってからは生きる理由も失いました。
エアリセのシロと出逢うよりさらに過去。
猫のエアリセ「タマ」に出逢い、全てを「共有」できる魔法を使えるタマはヒロキの苦しみを半分背負って、失った五感を与え、「生きる理由を探すために生きろ」と言います。
一緒に探す約束もしました。
信頼関係を築いていた二人でしたが、エアリセの「愛されると死ぬ」という性質により、タマが消えてしまいます。
それでもヒロキを一人にしたくなかったタマが力の欠片を猫のロボットに宿して約束を守ろうとする姿にはちょっと泣きそうになりました。
タマの想いのおかげで生きる理由を見つけ、凍っていたシロの心を溶かしていくヒロキの覚悟は憧れるものすらあります。
成立するはずのない「愛されたら消える妖精の恋物語」がどういう結末を迎えるのか是非読んでみてください!