企業型確定拠出年金とは?メリット・デメリットとiDeCoとの関連について
老後資金のことを考え始めた方は、『企業型確定拠出年金(企業型DC)』というワードを目にする機会が多くなったのではないでしょうか。
あるいは新入社員として入社して、会社の制度説明等で聞いた人もいるかもしれません。
「結局、企業型確定拠出年金ってなに?」
「これに入るとどんなメリットがあるの?」
こんな疑問が浮かんだと思います。
この記事では企業型確定拠出年金のメリットデメリットを紹介します。
将来の老後資金について心配している方は、是非最後までお付き合いください!
- 老後資金が心配で対策したい
- 企業型DCが老後対策になるのか知りたい
- 企業型DCとiDecoの併用について知りたい
- 老後資金が心配で対策したい
- 企業型DCが老後対策になるのか知りたい
- iDeCoと企業型DCの併用について知りたい
企業型DC(企業型確定拠出年金)とは
企業が毎月一定額の掛金を従業員の年金口座に積み立てしてくれる制度です。
その資金を従業員が運用を行い、定年退職を迎える60歳以降に、積み立ててきた資産を退職金(一時金)として受け取ることができます。
そのため、運用の成績によって退職後に受け取る額が変動する性質があります。
メリット
基本的に自分が損することはない
毎月の掛金は企業が出してくれています。
自分の財布からお金を出しているわけではないため、仮に運用で損失が出ても自分の懐は痛みません。
「自分が得られるはずだった利益が少なくなった」という意味での損はありますが、種銭の出処が自分の財布ではない以上、損することはありません。
運用利益は非課税
企業型DCの運用で得た利益には税金がかかりません。
株式やFXなどは利益に対して20%の税金がかけられますが、企業型DCで得られた利益はそっくりそのまま手元に残ります。
利益の5分の1が税金で減るというあまりに痛いことを企業型DCは防いでくれるのです。
※100万円を運用して150万円になった場合
企業型DC:非課税のため150万円のすべてが手元に残る
株式等:利益50万円に10万円(20%)税金がかかり、手元に入るのは140万円。
受取時にも税制優遇が受けられる
企業型DCで積み立てた資産を60歳以降に受け取るとき、税制優遇を受けられます。
受け取り方法は「一時金」と「年金形式」の二つあり、このどちらでも税制優遇を受けることができます。
※「一時金」は一括で受取、「年金形式」は毎年一定額を受取、というイメージです。
- 一時金の場合:退職所得控除
- 年金形式の場合:公的年金等控除
マッチング拠出による掛金は所得控除の対象になる
マッチング拠出とは『企業の拠出に加えて、従業員自身も掛金を拠出すること』を指します。
従業員が拠出する分の掛金については全額所得控除の対象となり、所得税や住民税を減らす効果があります。
企業の掛金が少ない場合、自分が拠出できる掛金も少なくなります。
資産運用では運用資金(元本)が多いほど期待できる利益が多くなる性質があります。
例えば、年利1%で利益が見込めるとして、元本が100万円なら101万円ですが、1000万円なら1010万円が見込め、利益には9万円の差が生まれます。
掛金が少ないと運用資金も少ないため、利益も少なくなり、資産が増えにくいのです。
デメリット
掛金に上限がある
月あたりの掛金の上限は法制度で定められています。
企業型DC以外の企業年金制度がない場合 | ¥55,000/月 |
企業型DC以外の企業年金制度がある場合 | ¥27,500/月 |
※「企業型DC以外の企業年金制度」とは確定給付企業年金や厚生年金基金などのことです。制度の有無については自身が務める企業に確認しましょう。
※上の表はあくまで掛金の上限であり、実際に拠出されている掛金は企業ごとに異なります。
60歳未満で退職した場合に手続きを怠ると資産が増えなくなる
60歳を待たず退職した場合、「退職日の翌日が属する月の翌月から6ヶ月以内」にiDeCoか転職先に資産を移管する手続きを必要があります。
この手続きを怠ると「国民年金基金連合会」へ自動的に移管されます。
「自動で移管されるなら便利で良いよね~」とか思った方は要注意!!
この自動移管には凶悪なデメリットがあります。
- 資産が増えなくなる(運用と積み立てができなくなる)
- 老齢給付金を受け取れる時期が遅くなる可能性がある
- 積立金から各種移管手数料が差し引かれる
資産を増やすために積み立てていたものが運用できなくなるという、とても許容できないデメリットが発生するので、退職後は必ず移管手続きを行いましょう。
企業が指定した金融商品しか選択できない
企業型DCでは企業が利用している金融機関が採用している金融商品からしか選択することができません。
金融機関から自分で選択できるiDeCoと比べるとどうしても選択の自由度で劣ります。
金融商品によって運用成績の良し悪しがあるため、選択の幅が狭まるという点は間違いなくデメリットです。
マッチング拠出をしているとiDeCoが併用できない
企業型DCでマッチング拠出制度という制度を採用している企業もあります。
この制度を利用していると、話題のiDeCoとの併用が出来なくなります。
iDeCoを利用したい場合はマッチング拠出を解約・停止しましょう。
マッチング拠出の解約・停止方法はお勤めの企業に相談しましょう
マッチング拠出とは?
『会社が拠出する掛金に加えて、加入者本人が掛金を上乗せして拠出することができる制度』です。
加入者の掛金は所得控除の対象となるため節税効果も見込めます。
マッチング拠出のメリット・デメリット
- 口座管理料は会社が負担
- 口座の管理が1つで済む
- 企業が拠出している掛金を超える掛金は拠出できない
- 企業が選定した商品の中からしか選択できない
- iDeCoと併用できない
まとめ
企業型確定拠出年金についてまとめると
- 自分が損する可能性は最小
- 3つの税制優遇を受けられる
- 掛金には上限がある
- 退職後の手続きを怠ると資産が増やせなくなる
- 金融商品の選択幅が少ない
- マッチング拠出制度を利用しているとiDeCoと併用できない
- 選べる金融商品の中からベストだと思うものを選択しておく
- マッチング拠出制度は利用しない(利用しているなら停止する)
- iDeCoと併用する手続きを進める