【まとめ/レビュー】疲弊する管理職が読むべき一冊『罰ゲーム化する管理職 バグだらけの職場の修正法』

- 現在、管理職として働いており、業務負担やストレスに悩んでいる方
- 将来、管理職を目指しているが、その役割に不安を感じている方
- 組織の構造的な問題に関心があり、改善策を模索している方
昇進したのに地獄――そう感じてはいませんか?
- 会議・資料・報告に追われて、肝心の仕事に手がつかない
- 「マネジメント」という名の板挟みにストレスが限界
- Z世代を始めとした部下には気を遣い、上司や役員との板挟み
- そして成果はすべて「自分次第」
毎日遅くまで残業し、気がつけば自分の時間も心の余裕も奪われていく。
管理職となったあなたに、そんな自覚はないでしょうか?
そんな管理職の罠にハマっている人に『罰ゲーム化する管理職』という書籍は刺さります。
管理職という名の「罰ゲーム」に立ち向かうヒントが、この本にに詰まっています。
現代の職場に蔓延する問題=バグを可視化し、管理職が疲弊し続ける原因を明確に指摘してくれる一冊です。
問題の指摘だけではなく、実際に修正していくための具体的な方法論も記載されています。
ちなみに、私は管理職になってから業務量が単純に3倍に増えましたが、この本を読んでから、徹底的にチームの構造を変えました。
そのおかげで、今では管理職としての報酬(一般職のときの1.5倍)をもらいつつ、業務負荷も一般職のときと同程度まで減らせています。

管理職の罰ゲーム化とは
管理職が「罰ゲーム化」している背景には以下のような要因があります。
- 業務量の増加:会議や報告業務に追われ、本来の業務に集中できない。
- 部下との関係性の難しさ:ハラスメント防止の観点から、適切な指導が難しくなっている。
- 評価と報酬の不一致:責任は増す一方で、報酬や評価がそれに見合っていない。
- キャリアの不透明さ:管理職になることで、転職市場での価値が下がると感じる。
これらの要因が重なり、管理職としての役割が「罰ゲーム」のように感じられる状況が生まれています。
「昇進=勝ち組」はもう過去の話?
- 毎日のように部下の尻ぬぐい
- 上からの圧力は強まるばかり
- 自分の意見を通せるどころか、責任だけが増える
- Z世代を始めとした若い部下の教育方法がわからない
- 仕事のやりがい?成果?それどころじゃない
もしこれら1つにでも心当たりがあるなら、あなたの職場にもバグが潜んでいるかもしれません。
なぜ罰ゲーム化してしまうのか?-原因はあなたではない
現代の日本企業に蔓延する「構造的な職場バグ」に焦点が当てられています。
例えば、
- 管理職=なんでも屋になっている構図
- マネジメントに必要な裁量と権限が与えられていない
- 目標だけが高く設定されて、現場は疲弊したまま
- 部下のケアと成果の間で責任だけがのしかかる
上記はほんの一部ですが、つまりは「管理職のしんどさの原因」はあなたの能力不足やスキル不足ではなく、管理職という仕組みそのものにあるということです。
まずは、この事実に気づくことで、改善への第一歩が踏み出せます。
現状を変えるにはどうすればいいのか?
本書の良い点は、単に問題点を指摘するだけではなく、具体的な修正方法まで言及していることです。
例えば、
- 役割の再定義
- 自分の業務を「全部やる」から「仕組みで回す」に切り替える
- 上司との交渉術
- 「NO」と言える準備と、上司を味方につける言い回し。
- 無駄の削減
- 定例会議や報告文化にメスを入れ、時間を生み出す。
- 自分を守る「余裕」の作り方
- すべてを抱え込まずに、負荷を分散させる思考と行動。
これらは理想論ではなく「明日から使える実践術」として書かれています。
どれも著者が実際の現場で観察・分析した中から導き出された方法であるため、机上の空論とは説得力が違います。
職場の「バグ」を修正する4つのアプローチ
管理職の「罰ゲーム化」を修正するために、以下の4つのアプローチを提案しています。
- フォロワーシップ・アプローチ
- 部下にもマネジメントスキルを持たせ、上司と部下の関係性を改善する。
- ワークシェアリング・アプローチ
- 業務の分担を見直し、管理職の負担を軽減する。
- ネットワーク・アプローチ
- 管理職同士の横の繋がりを強化し、情報共有や支援体制を構築する。
- キャリア・アプローチ
- 管理職のキャリアパスを明確にし、将来への展望を持たせる。
管理職になるのは「得」なのか「損」なのか?
『数字だけ見ると損に見えるが、一概には言えない』。これが答えです。
著者のデータによると「管理職は魅力的な仕事だ」と答えたのは30.6%。「管理職を続けたいか」という問いにも30.9%。
この数値だけ見ると7割の人が否定的な意見を持っており、「損」であるように見えます。
しかし管理職は「罰ゲーム」のように大変さを伴いますが、目指すことにやりがいを感じたり、管理職になった後の経験を成長の糧にしている人も当然います。
管理職になるということは、自らの身を「贈り手」の側へと置きなおすことを指します。
与えられる者から、与える者へ。
育てられる者から、育てる者へ。
自力で何とかする仕事から、他者と共にチームでする仕事へ。
今までと違うことを求められるため、それを自身の成長のチャンスと捉えるかどうかが、損得の基準になるのだと思います。
だからこそ、頭ごなしに「管理職になる=損」という思考になるのは、もったいないです。
自分がこの先どうなりたいのかということも考えた上で、そのために管理職になりたいのか、それとも他の道で活躍したいのかを考えると良いでしょう。
この本を読んだおかげで管理職が楽になった
冒頭でも触れましたが、私は管理職になってから報酬は増えましたが、業務量も増えました。一般職のときにやっていた業務に加えて管理職の業務ものしかかってきて、単純に3倍になりました。
そこで4つのアプローチを実践し、自分の裁量と権限を部下に委譲し、業務の役割分担を明確化し、他部署の管理職と課題と情報を共有し、仕組化できるものは仕組化して、「自分がやらなくてもいい業務」を徹底的に排除しました。
それにより「管理職として本当に自分がやらなければならない業務」に集中できる環境をある程度構築することに成功しました。
おかげでいまではそれなりにストレスが少なく仕事ができています。
まとめ
『罰ゲーム化する管理職』は、管理職の現状を深く掘り下げ、その背景にある組織の問題を明らかにし、具体的な修正策を提示する一冊です。
管理職としての役割に悩みを抱えている方や、組織改革を考えている方にとって、貴重な指針となるでしょう。
一度、手に取ってみてはいかがでしょうか?
