【射精責任】望まない妊娠のすべての原因が男性にある。話題書籍の感想・レビュー

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著:ガブリエル・ブレア, 翻訳:村井 理子, その他:齋藤 圭介
¥2,156 (2024/09/17 12:38時点 | Amazon調べ)

 『ABEMA NEWS』で取り上げられた『射精責任』という書籍。

 「望まない妊娠のすべての原因が男性にある」という、パワーフレーズが目を引いたため、思わず手に取りました。

 望まない妊娠やその責任、リスクについてなど、以前より議論がされていますが、この書籍は、出だしからかなり踏み込んだ内容となっています。

 書かれていることはどれも当たり前のことで、知らなくとも少し考えれば誰でもわかること。

 この本を読むことで、自分が「望まない妊娠」についてどれだけ理解できているかがわかります。

 本書籍を読む前と後でどのように考え方が変わったかも踏まえて紹介します。

 正直、この手のテーマに対して自身の意見を述べるのは怖いと思う部分もあります。

 しかし多くの人にこのテーマについて考え、この書籍について知ってもらいたいため記事にしました。

 この本を手に取ってみて、男女それぞれの視点からご意見を聞かせて頂ければ幸いです。

本を読む前の考え

 まず初めにこのテーマで意見を述べるのに、この記事の筆者の性別を明示しておきます

 この記事を書いた筆者は男性です。

 「望まない妊娠のすべての原因が男性にある」というフレーズに対して、衝撃を受けました。

 衝撃の次は疑問が浮かびました。

 妊娠は「性交渉をし、膣内に射精することで発生する」という認識です。

 避妊具(コンドーム)をつけずに射精する男性に非があるのは明らかであり、そこに責を問うのは納得と理解ができます。

 しかし性交渉とは本来、子孫を残すことが目的の生殖行動であるはず。

 それに男女双方が合意した上で行われたのであれば、責任も双方に発生するのではないか。(合意のない性交渉は暴力です)

 なのに合意の元に行われた結果の責任割合が「男性:女性 = 10:0」というのは、いまいち腑に落ちませんでした。

 男性の責任割合が大きいのは当然ですが、合意の元性交渉を行った時点で「男性:女性 = 9:1」になるのでないだろうか?

 これがこのフレーズを見て最初に浮かんだことです。

 しかし読み進めることで、自分の考えがの浅さに気づかされました

排卵時期は予測できない

 「大丈夫な日」という言葉があります。(個人的には「なんなんこの言葉?」と思います)

 そんな日が存在しないというのは感覚的にわかっていますが、この書籍ではそれを論理的に説明してくれています。

 女性の卵子は毎月24時間だけ受精可能です。

 さらにその7日前から精子を遠ざけておくと、より避妊の安全性が高まると、医師は推奨しているとのこと。

 「ならその日を避ければ避妊になる」と考えてしまう人もいるかもしれませんが、一番の問題は「排卵時期は予測できないこと」。

 その理由は、月経周期には大体23日~35日のばらつきがあるから。

 さらに同じ月経周期を持つ人達の中でも、排卵日は10日程度のばらつきがあるという研究データがあります。

 加えて、そのばらつきはその日の体調で変動します。

 つまり「大丈夫な日」を予測することは実質不可能であり、避妊するために排卵日を予測しようとすること自体が誤りであることがわかります

一方、射精はコントロールできる

 女性の排卵日が予測できないことに対し、男性の射精はコントロールができます。

 射精の頻度、体内・体外どちらに出すか、避妊具をつけるかどうか。

 無意識下で行われる排卵と異なり、これらはすべて男性が自発的に選択することができます。

 こう言うと、たまに「射精だってコントロールできない」という人が現れますが、それは誤りです。

 それは単に「いつまでも射精を我慢できるわけではない」と言っているだけ、避妊のための選択を放棄しているだけです。

 性的刺激に対して無限に我慢ができるわけではないという点には同意しますが、「望まない妊娠を避ける」という論点からずれています。

避妊具の手に入れやすさが違う

 男性用避妊具がコンビニで手軽に購入できるのに対し、女性用避妊具は必ず医師の診断(=処方箋)が必要になります。

 男性用避妊具は高くても1,000~2,000円前後で購入できますが、女性用避妊具の場合、避妊具自体が高価で、診察代や処方箋料が加わり、数千~数万円の費用が必要になります。

 即効性も異なります。たとえばピルは毎日飲んで1ヶ月経たないと効果がありません。

 医薬品ですから、女性は少なからず副作用のリスクを負います。

 また、本書には避妊薬とコロナワクチンを比較し、血栓症リスクについて触れた記述があります。

 ジョンソン・エンド・ジョンソン社製ワクチンを接種した700万人のうち6人が重度の血栓症を発症し、そのうち1名が亡くなりました。血栓症のリスクは100万分の1で合ったにも関わらず、当時はニューズの見出しを読んで恐ろしくなったものです。

 一方で、一般的な女性用避妊薬の血栓症リスクはこれよりはるかに高いことがわかっています。血栓症になるリスクを3倍にします。FDA(食品医薬品局)によれば、避妊薬を使用している女性が深刻な血栓症を発症するリスクは、年間1万人に3人から9人とされています(世界中で3億2700万人の女性がホルモン経口避妊薬を服用しています)。

 今現在判明している事例をベースに考えると、避妊薬はどのコロナワクチンよりもリスクが高いと言えるのです。それなのに、連日ためらわれることなく処方され、時には13歳や14歳の若さで服用が始まります。

射精責任「女性用避妊具は、手に入れにくくて、使いにくい」

 利便性、出費、手間、リスク。

 これらを考慮すると、女性よりも男性の方が明らかに避妊具が入手しやすく使いやすいのです。

避妊薬の副作用は男女で違う

 下の表を見れば、避妊薬について女性の方が大きなリスクを負っていることがわかります。

女性用避妊薬の副作用男性用避妊薬の治験で起きた副作用
ニキビ、頭痛、気分の落ち込み、倦怠感、体重増加、うつ、出欠と不正出血、むくみ、めまい、体液鬱滞、食欲の増加、不眠、皮膚のくすみ、むかつき、胸の痛みと感覚過敏、吐き気、血栓、胆嚢疾患、心臓発作、高血圧、肝がん、脳卒中ニキビ、頭痛、気分の落ち込み、倦怠感、体重増加、うつ、軽度の勃起不全、性欲の低下

 この表を見ると副作用の数の違いに目が行きそうになりますが、よく見ると女性には命に関わる副作用が生じていることがわかります。

 つまり、女性に避妊をさせるということは女性に命を懸けさせているのと同じです

望まない妊娠はすべて男性に責任がある

 本書のキャッチコピーであり、筆者が衝撃を受けた言葉の答えがこの章に記載されていました。

 もしかしたらこう考えているのではないでしょうか。

 でも、同意の上のセックスなんだから、望まない妊娠の責任は二人にあるじゃないか!

射精責任「望まない妊娠はすべて男性に責任がある」

 同じことを考えた自分が恥ずかしいです。ここで自分の考えの浅さに気づかされました。

 確かに合意できていますが、それは性交渉の合意であって妊娠の合意ではありません

 

 ただ、一点だけ気になることがあります。

 それは下の引用のようにコンドームを着用しなくても良いと男女共に合意した場合です。

女性が男性に対して、コンドームを着用しなくてもいいと言ったとしても、それが男性にコンドームなしで女性とセックスすることを強制することはありません。男性には、それを拒否する権利があります。もし男性がコンドームなしのセックスを選択するのであれば、そのときは望まない妊娠のリスクを選択したことになります。

射精責任「望まない妊娠はすべて男性に責任がある」

 避妊具を使用しないのだから、男女共に妊娠の可能性があることは認識できているはずです。

 その場合でも、最終決定権を持つ男性にすべての責任があるのか、それとも男女双方に責任があるのか、そもそもそれは望まない妊娠と言えるのか。

 気になって読み進めると、きちんと言及されていました。

 まとめるとこんな感じです。

 「コンドームなしに合意したことは妊娠に合意したわけではない」ということ。

 「コンドームなしでいい」と合意した女性の行動は軽率だが、男性の行動は軽率かつ妊娠の原因になっている。

 どこに避妊するかしないか、どこに射精するかの最終決定権を持つ男性側に最終的な責任がある。

 望まない妊娠を避ける一番の方法は「妊娠させる/する意志があるか互いに確認し、それを合意し、それに基づいた行動をする」だと思いました。 

女性が責任を取らないことを許すわけではない

 本書は男性側の責任について焦点が当たっているので、「望まない妊娠のすべての原因は男性だというのはおかしい」と拒否反応を示す男性もいるのではないでしょうか。

 望まない妊娠については女性も責任を負います。むしろ女性こそが負っていると言えます。

 女性は妊娠したら出産・中絶など、何かしらの選択を迫られます。その選択の結果も代償も基本的に女性が背負います。

 そして選択と結果から女性は逃げることができません。

 対して男性側ではどうでしょう? 選択からも結果からも逃げることができてしまいます。

 認知しない。音信不通になる。養育費を出すと言っておきながら出さない。

 男性に責任ある行動を求めるのは、女性を被害者にしないために重要であることがわかります。

レビュー

Amazonレビューから一部抜粋したものをご紹介します。(実際のレビューはコチラ

  • 賛否両論巻き起こす激しい本だけれど、書いてある内容は至極ごもっとも。
  • いままで押しつけられてきた「女性だからこその理不尽さ」が丁寧に文章になっています。
  • この本を読んで無意識に「妊娠は女性の責任」としてしまっていた自分自身に気づいた。
  • この本の内容に反論できる人がもしいるとしたらどうかしている

感想/まとめ:本を読んだ後の考え

 望まない妊娠の原因はすべて男性にある

 本書を最後まで読めばその通りであると納得し、理解することができました。

 望まない妊娠の責任は男女双方にありますが、原因は男性にしかありません。

 それは射精に関する最終決定権が、常に男性にあるからです。

 女性に避妊の努力を求めるのもおかしな話です。

 女性用避妊薬について、脳卒中など命に関わる副作用があることを知っている人はどれだけいるでしょうか。

 避妊の費用・手間・リスクも女性の方が圧倒的に大きく、男性の方が小さいです。

 それにも関わらず「女性が避妊具なしを許可したから」と言って男性が対策を怠るのはまさしく無責任というものです。

 100%自分に原因がある。

 男性がそう思って行動することが「望まない妊娠」を減らし、延いては男女双方を守ることにも繋がるのだと思います。

 本書は男女共に読む価値のある書籍ですが、男性にこそ、読んでもらいたいと一冊です。

著:ガブリエル・ブレア, 翻訳:村井 理子, その他:齋藤 圭介
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