錆喰いビスコ3巻のあらすじとネタバレ
- 熱いバトルが好き
- 情に熱いキャラクターが活躍ストーリーが好き
- 友情物語が好き
登場キャラクター
最強のキノコ守り:赤星ビスコ
師匠のジャビをサビツキから治すために霊薬キノコ錆喰いを求めて旅をする。
最強の相棒:猫柳ミロ
サビツキに侵された姉パウーを救うために錆喰いを探す少年医師。
キノコ守りとしての力を着実に身につけてきている。
放浪の旅商人:大茶釜チロル
雪原で雪に埋もれていたところをビスコたちに救われる。
ビスコたちの目的地を聞いて道案内として途中まで同行。
忌浜自警団長:猫柳パウー
ミロの姉。サビツキに侵されながらもビスコにも劣らない戦闘能力を持つ。
ミロがビスコに連れ去られたと思い、二人の後を追う。
悪徳県知事:黒革
金儲けのために住民から血税を搾り取っている忌浜の県知事。
ビスコに対して執着を見せており、ビスコ抹殺のために暗躍している。
あらすじ(ネタバレ・独自解釈含む)
第12話
チロルの案内で移動手段となる列車がある「狐坂駅」までやってきたビスコ一行。
電気も通っていない構内は暗く足元が見えない。
ビスコはキノコの胞子を口に含んで天井に吹きかけると「灯し茸」というキノコが生えてぼんやりと通路を照らした。
口の中にもキノコが生えそうなものだが、想像通りビスコの口から「灯し茸」が吐き出された。
それを見て呆れるミロ。
対称的にキノコ守りの技術を目の当たりにしたチロルは素直に感心した。
褒められて悪い気がしなかったビスコは珍しく謙遜し、自身の師匠ジャビはもっと凄いのだと話す。
どう凄いのかと言うと「地蔵ダケ」という地蔵によく似た毎回表情が異なるキノコを咲かせることができるというもの。
凄いけど何に使うのかチロルが聞くとビスコは真顔でーー。
3巻より引用
キノコ守りは凄いけどアホらしい。
ふと、チロルは気になってミロに尋ねた。
どうしてビスコとミロはもうすぐ死ぬ誰かのために命を懸けられるのか。
返ってきた答えた単純でありきたりなもの。
その人を愛しており、そして自分が他のやり方を知らない不器用だから。
そんな答えにチロルは「バカだよ」と返した。
しかしそこに侮蔑は込められていない。
通路を進んでいくとボロボロの列車が乱雑に積み上げられている場所に辿り着いた。
昔の列車庫だろうか。動かせそうなものがないか早速探す。
目的の路線に乗る列車を見つけ、動かせないかとあれこれ調べてみる。
チロルが口を挟み、単純な仕組みであることを見抜くと早速修理に取り掛かった。
チロルの前職は大企業「的場製鉄」のメカニックであり、その「的場製鉄」は錆の元凶である「テツジン」の補修工事に手を出していた。
工事が進む中、工員はどんどん錆で死んでいき、一番下っ端だったチロルが現場責任者になったとき、命懸けで逃げ出した。
昔話の間に列車の修理を終え、役目を終えたと言わんばかりにそっと立ち去ろうとするチロルをミロは引き留める。
三人はまだちゃんと互いの名前を交わしていなかった。
本名は笑われるから「くらげ」でいいと言い張っても「絶対に笑わないから」と絶対に名前を聞きたかったミロは詰め寄ってくる。
押しに負けたチロル。
3巻より引用
チロルの本名を聞いたビスコは穏やかに笑って彼女の名を呼んで礼を告げた。
ビスコに礼を言われたことに面食らうチロル。
列車が動き出し、二人は少しずつ離れていく。
きっとまた会おう。元気でいてほしい。友達になった君のことを思っている。本当にありがとう。
そう手を振りながら遠ざかっていく二人の姿。
友達と言われたことに込み上げてくるものがあった。
チロルもビスコとミロの名を呼び、そしてこう言った。
「ありがとう……」
その言葉が二人に届いたのかはわからなかった。
錆喰いにつながる情報がないか探しているのだが、手書きで描かれていて情報もアバウトなのであまり信用できないかもしれないとミロは思う。
ミロが掲げた生物図鑑を見たビスコはそれを否定した。
生物図鑑はキノコ守りが書いたものだから信用できる。
読み進めていくと「筒蛇」という生物が錆喰いの因子を持っていることが判明。
錆喰いに大きく近づいたことに喜ぶ二人。
そこへ上から「重油ダコ」という生物が落ちてきた。
天井を見上げると大量の「重油ダコ」が黒く蠢いていた。
「重油ダコ」は人を食う。しかし通り抜けなければ目的地には辿り着けない。
二人には迎え撃つ以外の選択肢はない。
天井から落ちてきたタコを撃ち落としていくが数が多すぎて捌ききれない。
帰りにこの道が使えなくなることを承知で、ビスコは「銀酸ナメコ」を咲かせて道ごとタコを溶かした。
息をついたのも束の間。巨大な触腕がミロを捕える。
ビスコが矢を放ち応戦するが、皮膜が厚くて触腕からキノコが咲かない。
やむを得ずナイフを突き立て、触腕を嚙み千切ってミロを救出。
だが今度はビスコが別の触腕に捕まってしまった。
ビスコはミロに「錆喰いを探せ」と叫び、触腕に連れ去られてしまう。
ビスコが見たのは他のタコの何十倍もある巨大な「重油ダコ」。
皮膜が厚くて「銀酸ナメコ」の毒も効かなかった。
ならばと大きく開かれた口の中へ矢を放つ。
内臓への攻撃に悶え苦しむタコ。暴れ回るせいで何度も壁に叩きつけられるビスコ。
「こんなところで死ねるかァァァ――――ッッ!」
雄叫びに応じたかのように列車から切り離された機関部が「重油ダコ」に衝突し、ビスコは投げ出される。
ビスコを案じて戻ってきたミロは重傷を負ったビスコを庇うべく矢を番えた。
暴走寸前の炉を積んだ機関部。爆発を食い止めている排気バルブを破壊すれば「重油ダコ」もろとも弾け飛ぶ。
標的は小さい。しかし早く撃ち抜かないとタコがこちらに向かってくる。
焦る。手が震える。狙いが定まらない。
その手にビスコの手が添えられた。
弓のコツは二つだけ。
一つはよく見ること。
もう一つは信じること。
ビスコはミロに問う。
「当たるか?」
震えが止まった。
3巻より引用
放たれた矢は狙いを違わず排気バルブを射抜き、「重油ダコ」を爆散させた。
爆風に吹き飛ばされて地面を転がるビスコとミロをアクタガワが受け止める。
そうして辿り着いた先は目的地の「子泣き幽谷」。
錆喰いがある場所。
第13話
「子泣き幽谷」。
風が谷間を吹き抜ける際、赤子が泣くような音を立てるためにそう呼ばれるようになった谷。
先ほど狩ったばかりの巨大「重油ダコ」を餌に「筒蛇」を釣り出す準備をする。
重傷を負っているビスコを心配して回復してからにしようとミロは提案するが、ずっと求めていた錆喰いがすぐ目の前にあるためビスコは拒否した。
せめて輸血だけでもと思ってミロは血液型を訊くとビスコは初めて聞く単語に目を丸くした。
子供でも知っている単語を本気で知らないと言っているビスコに逆にミロが目を丸くする。
そんな疑問を解く暇もなく、餌となるタコが巨大な怪鳥に盗られそうになっていた。
阻止すべく矢を構えるビスコ。
谷底からさらなる巨体が姿を現し、天を舞う怪鳥を一飲みにした。
双頭の蛇。生物図鑑で見た姿を瓜二つ。
――「筒蛇」。
3巻より引用
龍と見紛うその巨体に二人は圧倒される。
矢を放ちキノコを咲かせればそれが錆喰いになる。
ビスコとミロは二手に分かれて錆喰いを手に入れるべく動き出した。
ビスコは対岸に渡り矢を放つが、タコのときと同じように鱗に阻まれてキノコが咲かない。
鱗のない部位を狙い射線を探すがそこにバイクで岸壁を走るパウーが襲撃してきた。
予想もしていなかった人物の登場と悪すぎるタイミングに悪態を叫ばずにはいられなかった。
そんなビスコに構うことなく棍を振り回すパウー。
どうして居場所が分かったのか問うとミロに発信機を仕込んでいると深い家族愛を暴露。
パウーは引き気味のビスコを無視して唆して連れ去ったミロを返せと叫ぶ。
保護を通り越して檻で閉じ込めようとするパウーにビスコは一喝。
問答の最中で「筒蛇」の尾がパウーを薙ぎ払った。その衝撃で気を失っている。
「筒蛇」の胴に生えている無数の触指に捕えられたパウーを救うべく、アクタガワと共に「筒蛇」に飛び乗るミロ。
アクタガワの大鋏が触指を切り落とし、落下するパウーをビスコが受け止めた。
触指を切り落とされたことに怒った「筒蛇」が下を伸ばし、アクタガワの鋏を絡めとる。
目を覚ましたパウーはミロのピンチに狼狽えるが、ミロを救うべくビスコが喝を入れた。
バイクを「筒蛇」と並走させろと指示。弟を助けるためにパウーはビスコに託した。
一方でミロは「筒蛇」の舌に捕えられたアクタガワの解放を試みる。
舌は弾力に富み、短刀の刃が通らない。切り離すことは不可能。
ここでまさかのアクタガワの腕を切り離す手段を選択した。
普通なら拒絶するようなことだが、アクタガワもミロの選択を信じた。
アクタガワの解放に成功し、1人「筒蛇」の背に残るミロ。
大きく口を開く「筒蛇」に恐怖を感じながら、矢を構える。
ビスコのように最後まで諦めない。その意志で目の前の脅威に立ち向かう。
その「筒蛇」の口を何かが貫いた。
以前立ち寄った子供だけの街で譲り受けた銛。
それを放ち、ワイヤーアンカーとして「筒蛇」を貫いた。
ミロはワイヤーを滑車にして滑り降りようとするが、「筒蛇」は頭を大きく振ってワイヤーを手繰り寄せた。
ワイヤーを身体に巻いていたビスコと、ワイヤーを滑っていたミロの二人は宙に投げ出され、「筒蛇」に飲み込まれてしまう。
それは最大のチャンスだった。
「筒蛇」の体内に潜り込んだビスコは矢を放ち、体内からキノコを咲かせた。
キノコに身体を食い破られて「筒蛇」はとうとう地上に落下し絶命する。
「筒蛇」の死骸からはずっと求めていた錆喰いが咲いていた。
3巻より引用
第14話
あらゆる錆を喰い消すキノコが手に入り、喜ぶミロだったが、ビスコの顔は曇っていた。
錆喰いを一つ採って噛り付くと、このキノコが錆を喰う力はそこら辺のキノコと変わらないことが判明する。
これまでの過酷な旅。サビツキを治せるという希望。
それを否定するような事実に一同は絶望した。
激しい戦闘でビスコの額の傷が開いて血が流れた。
とっさに錆喰いを持った手でその血を拭ったとき、錆喰いが強い光を発する。
その現象に一つの仮説を立てたミロは新しく採ってきたキノコにビスコの血を垂らしてみる。
再び同じ現象が起きたことで、錆喰いはキノコ守りの血と調合することで錆喰いの力を発揮するという事実を突き止めた。
錆に効果的な技術や薬学を持つキノコ守り。
その事実を突きつけられてパウーのキノコ守りに対する認識も変わった。
とはいえ一度とならず二度までも争ったビスコとパウー。
誤解が解けたとはいえいがみ合いはすぐにはなくならない。
(ここのやり取り本当に面白かったです)
それでも活き活きとした表情を見せるミロを見て、ミロがビスコを信頼していることを理解し、喜ばしいことだと思った。
すっかり和やかな空気になっていたが、それは上空から現れた航空重機に乗る黒革の声によって壊される。
列車を使うとその運行記録が県庁に送信される仕組みがあるらしく、廃線からそれが送られてきたため、ビスコの関与が疑われた。
ビスコを始末するべく追いかけてきた黒革だが、中央政府に媚びを売るために錆喰いに標的を切り替えた。
航空重機から大量のアンカーが「筒蛇」に撃ち込まれて、錆喰いを持ち去ろうとする。
航空重機を撃ち落とそうとビスコは矢を放つが、一瞬だけキノコが咲いてすぐに枯れてしまった。
航空重機には抗菌加工が施されていた。
本来はキノコが咲くことすらないはずの加工だが、一瞬とはいえ咲かせたビスコの実力に恐怖を覚える黒革。
消耗して動きの鈍いビスコに銃弾を一発撃ち込んだ。
銃弾は「錆び弾」という毒。
錆び風に侵されるのとは比較にならないほどの毒性を持つ。
ビスコに致命的な一撃を喰らわせ、黒革は錆喰いを持ち去ってしまった。
――夜が明け、パウーは一足先に忌浜へ戻ることになる。
彼女の手には錆喰いから調合した二つのアンプル。それをジャビに届ける役目だ。
もう一つはパウー用だが、アクタガワに呼ばれてミロが離れた隙にビスコに手渡した。
錆び弾を受けたビスコも錆に侵されている。自然のものよりも進行が速いそれは確実に自分よりも早くビスコの命を蝕む。
そう思ったパウーはビスコに託した。
ミロを守り、折れない強さを持つビスコを信じて。
その信頼に応えるかのように頷くビスコへ、パウーは顔を寄せた。
「錆びた私を見て美人と言ったのはお前くらいだ、赤星。お前もよく見れば凛々しい、可愛い顔をしているよ」
そう言うとビスコは顔を赤くして後退った。
普段は見ないビスコの狼狽する姿に気を良くしたパウーは朗らかに笑い、そして忌浜へと向かった。
それを見送るビスコとミロ。
パウーの姿が見えなくなったタイミングでミロが「彼女いるの?」と尋ねる。
「どう? うちのパウー」「ドキッとしてたじゃん」「Eカップっす」
とニヤニヤしながら自分の姉を勧めてくる相棒から逃げるようにビスコはアクタガワに飛び乗ろうとし――失敗して転げ落ちた。
通常ならあり得ない失敗に呆然とし、そして喀血。
ビスコは錆びによって想像以上に衰弱していた。
それでもビスコは立ち止まらない。
「どんなに傷だらけでも身体が毒に咬まれても――魂には傷ひとつない。俺の中で変わらず脈打っている」
3巻より引用
自らの足で再びアクタガワに飛び乗って先に進む。
その背中を見て、ミロは静かに決意した。
3巻より引用
第15話
「錆び弾」の毒に蝕まれているビスコの傷は悪かった。
できるだけ安静にしてもらうためにミロは一人で狩りに出て、一時的に身を寄せている拠点に戻ると、留守番をしているはずのビスコの姿がなかった。
ビスコは黒革に命を狙われている。
まさか留守中に襲撃があったのか。
ミロが血相を変えて飛び出したところへ、アクタガワに乗ったビスコが声をかけてきた。
アクタガワが沼ガニのメスを見つけてフラれたと笑いながら話すビスコ。
ビスコが無事で安堵し、その次に湧き上がってきたのはわずかな怒りだった。
いつ死ぬかもわからない、そんな毒に侵されているのに安静にしていないビスコを睨みつける。
その眼光に怯んだビスコは逃げるようにアクタガワと一緒に遠くへ行ってしまった。
追いかけたところでビスコは逃げ回るだろう。
それで動き回られるくらいなら食事を作っている間に戻ってくるのを待っている方がまだマシだ。
半ば諦めて拠点の中に戻ってテレビをつけると、そこには黒革の顔が映っていた。
提示勧告だと宣う黒革の後ろには磔にされているパウーの姿。
パウーを助けたければ「錆喰い」の調合方法とビスコの身柄を渡せと要求してきた。
ミロは選択を迫られた。
しばらくして戻ってきたビスコはミロの様子がおかしいことにすぐに気がついた。
そもそも、言うことを聞かない自分の行動にミロが怒っていないはずがない。
それが小言の一つもなく「おかえり」とは。
ミロが作ってくれた料理を口に運び、ビスコはすぐに吐き捨てた。
ネムリダケの毒が入っていた。
なぜミロがそんなことをしたのかもすぐにわかった。
パウーだ。
黒革のところへ殴り込みに行こうとするビスコをミロは制止する。
「錆び弾」の毒で、ビスコはボロボロになっている。
蹴りも撃てない、視力もほとんど落ちている。
そのことをミロに見抜かれていた。
一番大切な友達に死んでほしくないから止めるのだと、ミロが叫んだ。
ミロも同じ気持ちを抱いているのだとビスコは悟った。
だからその言葉をそのまま返す。
自分がすべて背負えばいい。ミロが命を懸ける必要などない。
一人で行こうと背を向けるビスコの背中で、ミロが弓を引いていた。
その行為の意味が分からないミロではない。
ミロが放った矢を、ビスコが放った矢が撃ち落とす。
矢で矢を撃ち落とす応酬が繰り広げられ、互いの距離が少しずつ縮まっていく。
矢より短刀の方が速い。
互いに同じ判断をし、同時に抜刀し、逆手に持った刃を振るう。
ミロの短刀にはシビレダケの毒が塗られている。
ミロが作った毒なら掠っただけで動けなくなるだろう。
それがどうした。
ミロの鼻っ面に頭突きを叩き込む。
鼻が折れるような音。ミロは痛みにたたらを踏んだ。
自分に勝とうなど十年早い。
大人しく待ってろ。
そう叫びかけたときに帰ってきたのは頬を貫く衝撃。
ビスコが言おうとしたことをミロが拳と共に跳ね返す。
上等だ。
技も駆け引きもない、原始的で野蛮な殴り合いが続いた。
どんなに殴っても、どんなに蹴り込んでも、ミロは引かない。
3巻より引用
むしろその気迫にビスコが気圧された。
だから加減を誤った。
向かってきたミロに本気の蹴りを入れてしまう。
骨が砕ける砕ける感触が足裏から伝わってくる。
痛みに悶えるミロ。生きていることに安堵した。
「ごめん」と。
ミロは痛みに苦悶しながら何度も謝る。
わかっている。謝るな。殴られたことなんか気にしていない。
ミロは謝りながら、ビスコの首に針を刺した。
おそらくネムリダケの毒。強烈な睡魔に抗えず、その場に崩れ落ちるビスコ。
ミロの謝罪は殴ったことに対してではなく――。
眠りに落ちる直前にビスコが目にしたのは、涙を流すミロの顔。
――そんな顔、するな……ミロ。
第16話
ビスコを置いて一人で忌浜に戻ったミロは黒革を襲撃した。
黒革は余裕を崩さない。
実際、敵の本拠地に単独突入したミロの方が分が悪い。
それがわかっている黒革は「錆喰いの秘密を教えろ」と言ってきた。
調合方法を話したところで黒革は信用しないだろう。現物が泣ければ話にならない。
そういうと黒革は「錆喰い」を部下に持って来させた。
「錆喰い」の調合の実演を装って、シビレダケの毒を散布。
その隙に短刀で黒革を斬りつけた。
数分で心臓が止まるほどの猛毒。治療ができるのは調合したミロのみ。
黒革の命を交渉材料に、パウーとジャビの解放を要求する。
その予定だった。
しかし黒革が撃った矢に射抜かれてしまう。
どうして動ける?
その疑問の答えはすぐに黒革が口にした。
3巻より引用
キノコ守りの知識を持ちながら、多くの人々を苦しめた黒革を殺すべく、短刀を振り上げたとき、ミロの身体が動かなくなった。
糸繰り茸というキノコ。その菌が筋肉に根を張り、黒革の脳に埋め込まれたチップを介してミロの身体を意のままに操る。
勝利を確信した黒革は聞いてもいないことを話し出す。
この世の行政機関は政府が支給している「サビツキアンプル」の薬から収入を得ている。
「錆喰い」などと言う特効薬を作られてしまったら商売が成り立たない。
だがその特効薬が自分の手元にあれば、「サビツキアンプル」を支給する政府と同等の交渉力を持つことができる。
そのために「錆喰い」の調合方法が知りたいのだと。
しかしミロは話さない。
だから黒革は筋肉だけではなく脳も操って秘密を喋らせようとした。
その窮地をビスコが救った。
突然現れたビスコの姿に、黒革は平静を装いながらも明らかに動揺し、恐怖している。
ビスコはそんな男を歯牙にもかけない。
見下し、見下ろし、挑発する。
それにプライドが気づけられたのか、「キノコ守りが錆の元凶」という話を広めたのが自分だと暴露する黒革。
ビスコは怒るどころかどうでもいいことのように鼻で笑い、黒革の左腕を矢で吹き飛ばす。
黒革を窮地に追い込み、ミロやジャビたちを傷つけられた怒りを剝き出しに吠えた。
だが、そんなビスコの足にミロが放った矢が突き刺さる。
「錆び弾」と同じ毒を持つ「錆び矢」。
黒革はミロを操り、何度もビスコを撃たせた。
このままではビスコが死んでしまう。
懇願するミロに対し、黒革は「錆喰い」の調合方法を要求する。
ビスコの命を盾にされ、ミロはそれを教えるしかなかった。
調合方法を聞き出した黒革は、用済みとなった二人を始末するべく約束を反故にした。
ビスコがミロを見ている。
その目は諦めた目ではなかった。
だから信じた。
信じて矢を撃った。
ビスコはその矢を歯で掴み、受け流すように軌道を180度逸らした。
その矢は黒革の右目を撃ち抜く。
悲鳴を上げる黒革に一矢報いたビスコは獰猛に笑う。
だが黒革の優位は変わらない。
先にミロを始末しようと、ミロを操って短刀で喉を突かせようとした。
ジャビの矢がそれを防いだ。
――3巻終了。
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